「母の口ぐせ」 | thinkstep株式会社


「母の口ぐせ」

「もったいない」という言葉は環境保全活動のキーワードとしてしばしば使われる。リデュース、リユース、リサイクルなどの概念を統合して表せる言葉として便利である。近年経済的な無駄の概念から「もったいない」という言葉が使われることが多い。「高い買い物だったのにもったいない。」なという具合に。

 

NHK[視点・論点]で俳人長谷川櫂氏は「もったいない」の原点に返った考え方を披露されていた。人間は生きるために植物、動物の命を犠牲にして生きることができる。命やそれを育んできた環境に対し、感謝の念を持つべきである。それが「もったいない」であると言われていた。

 

私は母から「茶碗の米は決して一粒でも残してはいけない。お百姓さんが汗水流して、おいしい米を作ってくれたのだから、残すことはお百姓さんに対し失礼だ。もったいないことだ。」といわれて育ってきた。「もったいない」は母の口ぐせだった。布団も綿を何度か打ち直して、布団や座布団を作ってくれていた。綿を摘み取る苦労を知っていたからだと思う。母の視点は、価値を生み出すための人々の労働の尊さにあったと思われる。

 

東京23区の粗大ゴミ個数で18年間一位のものは布団だということである。年間60万枚もの布団が粗大ゴミとなる。綿の打ち直しなどせずに使い捨て商品として布団は扱われている。都会の住宅事情やスピーディーな生活スタイルを考えれば、布団を粗大ゴミとして処理したいというのもうなずけるが、布団が粗大ゴミ第一位というのはびっくりした。布団は空気の固まりみたいだけど寿命はある。しかし処理や保管場所に困る。布団に有害物もそれほど含まれているようでもなく、布団リサイクル法もない。・・・そういうことか。

綿の使用量を減らすリデュースは生活必需品だからかなり難しそうだ。リユースやリサイクルは結局処理費用を上回る価値を生み出せるかどうかにかかっている。古い綿の再利用は各方面で実施されているのだが、採算が合わず事業化が大変難しいようなのである。これはLCAで環境負荷の観点から見るよりほかないかもしれない。

 

自分の仕事を振りかえってみる。労働価値を認めてもらえるような仕事をしなくてはいけないのだとあらためて思う。母の口ぐせを思い出して、「もったいない」と大切に使っていただけるデータや解析結果、提言をまとめ、皆様のお役に立てることに精進したい。(L