「電車内での自撮り」 | thinkstep株式会社


「電車内での自撮り」

 非常に稀なことだが、通勤電車で前の座席が空いて座ることができた。降ってわいたような幸運だ。昨日銀杏が私に2粒当たった。ポトン、ポトンと肩と胸のあたりに。あれから小さなラッキーが続いている。

 

 左前に立っているのは欧米の紳士。どうして欧米人はおなかが出ていても見栄えよくスーツを着こなせるのだろうか。彼は吊革につかまりながら、右手を高く上げ、スマホで車内の様子を自撮りし始めた。写真画面を見ながら文字も入力している。

 

 電車の乗客はだれもが自由時間を持っているようなものであるので、他の人に迷惑をかけない範囲で気楽に過ごすことができる。10分間で目的地に着くまで鉄道会社は自由な時間をプレゼントしてくれていると考えれば、混んだ電車も気にならなくなる。1分も発車時間を遅らせてダイヤを調整しているなんて……とイライラしなくても済む。

 

 そういえば、昨日見た映画にカデンッアという音楽用語が出てきた。ソリストがオーケストラの伴奏を伴わずに自由に即興的な演奏・歌唱をする部分のことである。作曲家からの時間のプレゼントのようなものだ。そこにソリストは自分の音符を埋めていく。演奏する人の音楽能力と楽曲全体の理解度が自然に表現されてくる。

 

 カデンツァという語は学校の音楽教科書にはなかったと思う。“創造力やイマジネーションを働かせて演奏する”という作曲者からの贈り物だから……頻繁には出会わない。

 

 LCA(ライフサイクルアセスメント)の解析業務で、依頼者から“このプロセスはカデンッアでお願いします“と言われたらどうしたらいいのだろう。プロセスのつながりをチェックし、製品の目指す機能、使われ方を理解し、……そして、やはり最終的には依頼者の知恵を拝借し、相談することになるのだろうと思う。LCAでは解析者が自分流にプロセスを解釈してはいけない。

 

 朝の通勤電車の中で久しぶりに座れたので、昨日見てきた映画の台詞まで頭の中を駆け巡る。イマジネーションがつながる心地よい10分間を鉄道からプレゼントされた。

 

 2粒の銀杏がくれた心の余裕。金のしずく……なり。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    通勤電車で前の座席が空いて座ることができるのは「非常に稀なこと」なのですね。やはり大都会ですね。

    私は地方在住ですが、地方の中では都会の方、即ち地方都市です。さすがにここまで混んではいないと思いますが、私がここに戻ってきた6~7年前に比べると電車の本数や車両数を調整し、今では休日の電車もそこそこ混雑するようになりました。
    以前は乗降客が少ない時間帯でも無駄に多い車両数の電車が存在していました。(楽に乗車できてありがたかったのですが・・・)

    やはり電車は混雑しないと鉄道会社は利益を出せないようですね。私の地方のJRでは本業よりも不動産等のサイドビジネスで稼いでいる状況です。

    peasia様は混雑する電車の利用が続いていくと思いますが、その中でも楽しみを見つけて有益にお過ごしください。

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