「天神平」 | thinkstep株式会社


「天神平」

 天神平にロープウェイで登ってきた。谷川岳は大変厳しい山で、ロッククライミングルートとしては評判の難所というイメージを持っている程度である。今回はモミジを見ようと思ったのだ。

 

 目の前にうっすらと粉砂糖のような雪がまぶされた谷川岳をしっかり瞼に焼き付けて、遠く雪をかぶる山々を眺めた。期待したモミジは谷川岳ふもとでは既にシーズンを過ぎていて枯葉色の山肌にわずかにオレンジ色に色づいた落葉松(?)が見える程度だった。天神平で食べたコーヒーゼリーは谷川岳の湧き水を使っており、澄んだ味がした。私にとっていい思い出になるだろう。

 

 今回の思い出は玉手箱にしまっておきたいと思う。

 

 浦島太郎の物語で出てくる玉手箱は面白い設定だ。楽しい経験を持ち続けるために、乙姫は玉手箱の中に浦島の霊魂を閉じ込め、絶対に開けてはならないと告げている。竜宮では楽しい3年間が、現生の砂浜では300年も経っているという時空のゆがみを題材にしたような話である。乙姫は現生に戻っても竜宮の楽しい思い出を浦島はキープできるように浦島の霊魂を身体から分離し、年をとらない浦島太郎として、現生に送り返したのだ。この理屈、現代物理学を先取りするような枠組みに加え、タイやヒラメや人間が共存できる別の次元の世界(3次元世界ではない)というSF的発想が気に入っている。

 

 玉手箱、霊魂と身体の分離、時空のゆがみ、別次元での多種多様な生命の共存。

 

 現代の玉手箱は思い出を詰め込むスマホだろうか。電車内ではスマホを見せ合いながら楽し気に話し合う女子学生の仲良しグループをよく目にする。思い出の放出と更新である。

 スマホ画面をみせる時かすかに白い煙(浦島太郎が玉手箱を開けたときに出たようなあの煙です)が出ているような気配もする。

 

 解析データを更新し続けて新鮮さを失わないLCA解析。思い出を常時更新し続ける現代の若者の生き方のようだ。

 

 煙にならずに最後まで残るのは、ヒトとの出会いと環境を護る信念……でしょうか。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「玉手箱、霊魂と身体の分離、時空のゆがみ、別次元での多種多様な生命の共存」確かにSFですね。おとぎ話は少なからずSF的な要素が含まれていますが、時空のゆがみについては特に興味をそそられます。300年も経っていたとは「猿の惑星」にも通ずるところがありますね。

    私の地方では、紅葉はこれから12月上旬にかけてですね。とは言え、紅葉になる樹木の種類が少ないのが残念です。ここ最近は地球温暖化の影響か、更に紅葉時期が遅れ、期間も短くなっているようです。いつまでも紅葉を楽しみたいですね。

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